Webアプリケーション診断は、サイバー攻撃や情報漏えいのリスクが高まる現代において、どの企業にとっても無視できない重要なテーマです。
「自社サイトのどこが弱点なのか」「どのような診断方法があるのか」「費用はどのくらいかかるのか」といった疑問や不安を感じており、Webアプリケーション診断の詳細についてしっかり把握したいと考えている担当者は少なくありません。
Webアプリケーション診断は、Webアプリケーションに潜む脆弱性を洗い出すサービスです。本記事では、Webアプリケーション診断の定義やほかの診断との違い、具体的な診断手法や費用相場と依頼先の選び方、無料ツールの現実について解説します。
技術サポート付き!Webアプリケーション診断

攻撃者目線での疑似攻撃を行い、AWS、Google Cloud 上のWebアプリケーションに内在する脆弱性を調査します。診断実績10,500件以上と、確かな実績と経験に基づく高い技術力で、システムの脆弱性を洗い出します。
Webアプリケーション診断とは?
Webアプリケーション診断は、インターネット経由でアクセス可能なWebアプリケーションの脆弱性を洗い出すセキュリティ対策です。
近年、ECサイトや業務系システムを標的としたサイバー攻撃が増加しており、情報漏えいなどの事故を未然に防ぐうえでもWebアプリケーション診断は必要不可欠となっています。
Webアプリケーション診断の主な目的は、次のとおりです。
- サイバー攻撃リスク(情報漏えい・サービス停止など)の低減
- システム改修・運用改善の根拠となる情報提供
- 法規制・業界ガイドライン(PCI DSSなど)への適合
診断の対象はログイン画面や問い合わせフォームなどの攻撃されやすい箇所だけではなく、Cookie(クッキー)やセッション管理、API通信など多岐にわたります。このように広範囲の脆弱性を可視化することが「顧客情報の漏えい防止」や「サービス継続性の確保」につながります。
Webアプリケーション診断と他の診断(ペネトレーションテスト・プラットフォーム診断)との違い

Webアプリケーション診断では、Webアプリケーションに特有の攻撃手法に対し脆弱性がないか幅広く網羅的にチェックします。Webアプリケーション診断と類似するセキュリティ評価手法としては、「ペネトレーションテスト」と「プラットフォーム診断」があります。
ペネトレーションテストとの違い
ペネトレーションテストでは、実際の攻撃者になりきり、発見した脆弱性がどこまで悪用できるかを検証します。これは、被害想定やインシデント対応力の評価に有効です。
セキュリティ対策に役立てるという点では同じですが、ペネトレーションテストはWebアプリケーション診断とは目的が異なります。
また、Webアプリケーション診断がWebサイトやWebアプリケーションを対象にしているのに対し、ペネトレーションテストでの対象・範囲はインフラや運用ルールなどを含むシステム全般から目的に応じて必要な箇所を選択し、決定されます。
さらに、実施時期も両者において異なる点です。Webアプリケーション診断は開発や改修、アップデート直後に行われることが多く、ペネトレーションテストはシステムが運用中でも必要に応じて実施されます。
プラットフォーム診断との違い
プラットフォーム診断は、サーバーやネットワーク機器など、インフラ基盤のOSやミドルウエアに潜む脆弱性が主な診断対象です。
OSの設定ミスや不要なサービスの稼働など、アプリケーション層以外を調査するため、診断対象がWebアプリケーション診断とは異なります。
また、一部のプラットフォーム診断とWebアプリケーション診断では対象の汎用性に違いがあり、汎用的でないWebサイトやWebアプリケーションは、個別に診断が必要です。
プラットフォーム診断のうち、OSやミドルウエアなど汎用性の高い製品に関しては、製造元のベンダーが製品をアップデートすることにより対策されます。ベンダーが提供する修正パッチを、利用者が自分(自社)のOSやミドルウエアへ適用することにより、セキュリティリスクが解消され安全な運用が可能となります。
修正パッチの適用後には、システムやソフトウエアがサイバー攻撃や不正アクセスなどにより被害を受けないよう修正が施され、セキュリティが強化されます。
しかし、ほとんどのWebアプリケーションは企業ごとに、業務に合わせて開発されるため非汎用的であり、個別にWebアプリケーションの診断が必要です。
どれを選ぶべきか?自社状況・リスクによる判断ポイント
セキュリティ評価手法にはさまざまな違いがあるため、目的と対象によってどの診断やテストが適しているのかは異なります。
特に、決済や個人情報を扱うWebサービスでは、多角的にセキュリティを強化する必要があるため、複数の診断手法の組み合わせが推奨されています。
また、外注委託する場合、委託先の事業者には「診断の専業事業者」と「診断とともに診断結果に応じた技術的サポートができる運用支援事業者」の2種類があります。
診断の専業事業者は、基本的に診断後のレポート提出と一般的なQA対応までは実施しますが、具体的な脆弱性修正や開発現場への技術支援は行いません。
一方、診断とともに診断結果に応じた技術的サポートができる運用支援事業者は、診断業務に加え、発見された脆弱性への修正アドバイス、実装・改修サポート、再診断までワンストップで対応します。
診断だけ実施したい場合や自社で診断結果に対応した対策やシステム改修ができる社内エンジニアがいる場合は診断の専業事業者が向いています。
診断結果に応じたシステムに必要な技術支援まで対応してほしい場合は、技術的サポートができる運用支援事業者の選択が推奨されます。
技術サポート付き!Webアプリケーション診断

攻撃者目線での疑似攻撃を行い、AWS、Google Cloud 上のWebアプリケーションに内在する脆弱性を調査します。診断実績10,500件以上と、確かな実績と経験に基づく高い技術力で、システムの脆弱性を洗い出します。
Webアプリケーション診断の具体的な診断項目と方法
Webアプリケーション診断の具体的な診断項目は多岐にわたり、診断方法は大きく2つに大別されます。診断の流れは、Webアプリケーション診断サービスを提供する事業者によって詳細は異なるものの、大きな違いはありません。ここではWebアプリケーション診断の具体的な診断項目・方法・流れについて紹介します。
主な診断項目
Webアプリケーション診断の主な診断項目には、下記が挙げられます。
| 種類 | 診断項目 |
|---|---|
| 入出力処理に関する脆弱性 | クロスサイトスクリプティング、SQLインジェクション、OSコマンドインジェクション、HTTPヘッダインジェクション、メールヘッダインジェクションなど |
| 認証に関する脆弱性 | エラーメッセージによる情報推測、平文による秘密情報の送受信、アカウントロックアウトやログアウト機能の不備、パスワード変更または再発行機能の悪用など |
| 認可に関する脆弱性 | 認可制御の不備 ※例:IDOR(Insecure Direct Object References)、権限昇格など |
| セッション管理に関する脆弱性 | 長いセッション有効期限、強度の低いセッションID、セッションフィクセーション、セッション管理方法の不備など |
| Webサーバー設定に関する脆弱性 | 許可されているHTTPメソッド、ディレクトリリスティング、表示抑止・露出防止、管理画面の検出、TLS・SSL関連など |
| クライアントサイド技術に関する脆弱性 | 適切でないCORS(Cross Origin Resource Sharing)ポリシー設定、SOP(Same Origin Policy)回避につながる脆弱性など |
| 一般的な脆弱性 | 既知の脆弱性が存在するソフトウエア、不用意な情報公開など |
| アプリケーション仕様や設計に起因する脆弱性 | ロジック上の問題点、サービス妨害、キャッシュ制御の不備、秘密情報を含むURL、クリックジャッキングなど |
上記は主な診断項目であり、その内容は非常に多岐にわたるため、診断対象によって重視される項目は異なります。
これらの項目は、国際的なガイドライン(”OWASP(Open Worldwide Application Security Project、以降OWASP)Top10“や”OWASP ASVS” “OWASP WSTG“など)をもとに策定されています。
OWASPはWebアプリケーションのセキュリティ向上を目的とした国際的な非営利団体です。無料で利用できるドキュメント、ツールやカンファレンスなどを提供しています。OWASP Top 10は、Webアプリケーションに対する最も重大なセキュリティリスクをまとめたものです。
無料で提供されているこれらのツールは、本格的にWebアプリケーション診断を行う前の予備診断として有効ですが、網羅性や精度には限界があります。よって、これらの無料ツールは、これのみで診断を完結するのではなく、手動診断を補完する位置付けでの利用が推奨されます。
診断方法(ツール診断と手動診断)
診断方法は「ツール(自動)診断」と「手動診断」の2つに分けられます。診断の際には予算と目的を考慮し、大多数のケースでは双方を組み合わせて利用します。
それぞれの診断方法における特長は、下記のとおりです。
- 一般的なツール診断:自動化されたスキャンツールを用いるため比較的簡単に実施できる
- 手動診断:セキュリティエンジニアがシステムの用途や実装、ビジネスロジックを理解したうえで行う
これらがもたらすメリット・デメリットは、後ほど解説します。
診断の流れ

一般的にWebアプリケーション診断を外部委託する場合には、図1のような流れで診断が行われます。
- ヒアリングと事前準備:診断対象に関する詳細なヒアリングを行い、機密保持契約などを交わしたあと、診断計画の立案・手法の決定など事前の準備をする
- 診断実施:あらかじめ合意した内容・計画に基づき診断を行い、深刻な問題が見つかった場合には速報として報告する
- 診断結果報告・改善提案:診断結果報告書が提出され、問題や脅威が見つかった場合は改善策の提案などがなされる
- 診断後サポート:再診断や質問への回答、技術的なサポートなどが実施される
なお、4の診断後に行われるサポートの範囲は、委託先事業者や契約の内容によって異なります。
診断の専業事業者や診断のみのプランでは、診断結果に対する対処法は伝えますが、実際のシステム改修や技術支援は行いません。
しかし、技術的サポートができる運用支援事業者や技術支援を備えた診断プランを選ぶと、診断だけでなくリスク検出から対処まで迅速に行えるメリットがあります。
Webアプリケーション診断の費用相場と無料診断の現状
一般的なWebアプリケーション診断について、費用相場と無料診断の現状を紹介します。
費用相場
一般的に信頼性のある事業者に外部委託する場合の費用は、「1サイト当たり数十万円~100万円超」です。小規模なサイトでは数十万円から、決済機能や会員基盤を持つ大規模・複雑なシステムなら数百万円になることもあります。
一般的なツール診断中心なら安価で済みますが、手動診断やオーダーメイド診断では高額になる傾向があります。ツール診断と手動診断を組み合わせ、できるだけ価格を抑えつつ望む内容の診断を受けるという方法もあります。
診断手法ごとのメリット・デメリットと比較
一般的なツール診断では、既知の脆弱性や脅威を効率的にチェックできます。コストを抑え、大量の項目を短時間でチェックできる点がツール診断のメリットです。
ただし、選んだツールによっては誤検知や見逃しも生じやすいというデメリットがあり、一般的なツール診断では診断できない項目や検知できない脆弱性も存在します。また、Webアプリケーションやシステム固有の問題への対応には向いていません。
手動診断や要件にあわせたカスタム診断、高精度なツール診断は、セキュリティの専門家が行うため精度が高く、目的に応じて望む内容の診断が受けられます。
費用は高額になりがちですが、個別挙動や複雑な攻撃シナリオへの対応力に優れているほか、Webアプリケーションやシステムに固有の問題にも対応可能です。
その後、問題が見つかった場合の対応についても、専門知識を持った担当者のアドバイスや提案が受けられるため、迅速に問題へ対処しやすくなります。
無料ツール診断の現実と限界
ツール診断は無料でできるものもありますが、簡易的な診断内容であり、カバーできる範囲や精度は限定的です。そのため、「本格的にWebアプリケーション診断を行う前の予備診断として使用する」「簡単でもいいので一刻も早く診断したい」といった場合にのみ使う活用方法が推奨されます。
そのような場合でも、診断ツールを使いこなせるようなセキュリティの知識に精通した担当者による対応が必須です。
それゆえ、目的や社内事情、Webアプリケーション、診断項目にもよりますが、無料ツール診断のみで本格的なWebアプリケーション診断を済ませることは現実的には難しいでしょう。
Webアプリケーション診断における診断方法や依頼先・プランの選び方

一般的なツール診断は社内エンジニアでも実施可能ですが、セキュリティの知識、運用スキル、診断結果の解釈に一定の専門知識が必要とされます。
手動診断および要件に応じたカスタム診断や高精度なツール診断の場合は、経験豊富な専門事業者や外部のセキュリティエンジニアへの委託が合理的です。専門知識が豊富な外部の事業者や人材であれば、対応策の提示も含めてサポートしてもらえます。
自社の実施目的(法規制対応・事故防止・リスク管理・PRなど)を満たせるかを基準に、下記の点をしっかりチェックして選びましょう。
- 費用
- 対応範囲
- 診断事業者の実績と診断の品質
- スピードや緊急対応力
- 診断事業者のセキュリティ・情報保護体制・ISO認証の有無
- リスク対応に必要な技術支援力
特殊なプロトコルを使用している場合には対応力を重視することがおすすめです。また、AWSを利用しているWebアプリケーションなら、AWSに精通している専門事業者であるかも必ずチェックしておきましょう。
専門家によって脆弱性を顕在化するWebアプリケーション診断
Webアプリケーション診断は、自社のWebアプリケーションを守る大切なセキュリティ対策です。
自社固有の機能が多かったり、外部サービスとの連携があったりするケースでは、「漏れなく診断できるのか」「脆弱性が見つかった場合の対応はどうするのか」など不安を感じる担当者も多いのではないでしょうか。そのような悩みを抱えているのであれば、前述のように信頼できる技術力を持った専門事業者への依頼がおすすめです。
AWS、Google Cloud に特化した技術者集団であるCloudCREW byGMO(以降、CloudCREW)は、GMOサイバーセキュリティ byイエラエ株式会社と提携した高精度なWebアプリケーション診断プランを提供しています。
GMOサイバーセキュリティ byイエラエ株式会社は国内最大規模のホワイトハッカー組織(2026年4月時点)を有すると報じられている企業です。
CloudCREWは、セキュリティリスクの解消・低減を目指した一貫したサポート体制にて対応しています。AWSやGoogle Cloud環境を含めたWebアプリケーションの安全性を守るためにWebアプリケーション診断を提供しているほか、診断や報告・レポート提出だけでなく、問題解決やリスク解消に役立つ技術支援をシームレスに提供しています。
一般的なWebアプリケーション診断では、診断・報告・レポート提出のみで、見つかった脆弱性などの問題やリスクに対しての対応は、多くは別の組織(別会社や自社のセキュリティ担当者など)が行うこととなります。そのため、工数の増大や作業の分断、迅速な対応が難しいなどといった問題が起こりがちです。しかし、当サービスでは、診断・報告・レポート提出から問題解決・リスク解消の技術サポートまでワンストップで提供し、問題解決に向けて迅速に対処できます。
また、AWSおよびGoogle Cloudなどのセキュリティリスクを可視化する「クラウド診断」も行っています。
Webアプリケーションのセキュリティや脆弱性発見後の対応について不安がある場合には、ぜひ一度お問い合わせください。
まとめ
Webアプリケーション診断は、企業の情報資産を守るための基礎的な施策です。診断の種類と費用感・メリット、選定基準について理解し、自社の目的や「IT資産」状況に合致した最適なプランを選びましょう。
自社の大切な「IT資産」を守るため、信頼性の高いWebアプリケーション診断を活用することにより、セキュリティリスクの低減と安心なWebアプリケーション運用体制の構築を実現できます。
当記事の監修
GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社が運営するCloudCREW byGMOでご紹介する記事は、AWSなど主要クラウドの認定資格を有するエンジニアによって監修されています。

