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Amazon EC2の効率的な運用方法とは?わかりやすく解説

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Amazon EC2(以降、EC2)は、AWSを利用する上で必ず理解しておくべきサービスです。その特長的な機能を理解し、効果的に運用することは、クラウド環境での成功の鍵と言えます。
当記事では、EC2のシステム概要と特長について、深く掘り下げ、それを活かすための効率的な運用方法に焦点を当てます。クラウド運用のプロセスを最適化し、コスト効率とセキュリティを確保するための手法を解説します。
この記事を参考にすれば、AWS初心者からオンプレミス経験者まで、幅広いバックグラウンドを持つ方がEC2の運用を徹底的に理解できるようになるはずですので、ぜひ最後まで読んでみてください。

Amazon EC2の基本的概要

Amazon EC2とは

効率的な運用を学ぶ前に、まずはEC2について正しい理解ができるようになることが先決です。
この章では、EC2の基本的な概要に焦点を当て、その重要性と基本原則について説明します。クラウドコンピューティングの中核をなすEC2の理解は、AWSを活用する上での第一歩です。

AmazonEC2の概要とEC2インスタンスの図

図1.Amazon EC2(Amazon Elastic Compute Cloud)

EC2は、AWSのクラウドコンピューティングプラットフォームで提供されるサービスのひとつです。簡単に言えば、EC2は、インターネットを通じてアクセスできる仮想的なコンピューターを提供し、これによってアプリケーションのホスティング、データ処理、ウェブアプリケーションの実行など、さまざまなクラウドコンピューティングタスクを効果的に実行できるようにしています。また、サーバーの追加・削除、マシンスペック変更も数分で可能なので、動的なサーバー管理を行うことができます。

Amazon EC2の特長

EC2の特長として、用途に応じて幅広いインスタンスが選択可能であることが挙げられます。
EC2では、汎用化、コンピューティング最適化、メモリ最適化、ストレージ最適化、高速コンピューティングなど、ワークロードに合った適切なコンピューティング、メモリ、ストレージ、ネットワークバランスを提供する多くのインスタンスタイプが用意されています。

これらのインスタンスタイプには、インテル、AMD、NVIDIA、AWSのプロセッサが搭載されており、パフォーマンスとコストの最適化が実現されています(2023年10月時点)。

また、ローカルストレージや拡張ネットワークオプションなど、インスタンスタイプごとのリソースは、ディスクやネットワークのI/Oに依存するワークロードのパフォーマンスを向上させるのに役立ちます。

さらに、多くのインスタンスタイプではベアメタルインスタンスも提供されています。ベアメタルインスタンスとは、クラウドコンピューティングプロバイダーが提供する仮想マシンではなく、物理的なハードウェアに直接アクセスできる仮想化されていないコンピューティングリソースです。通常の仮想インスタンスでは、物理的なサーバー上にハイパーバイザー(仮想化ソフトウェア)が存在し、その上で仮想マシンが実行されますが、ベアメタルインスタンスではこのハイパーバイザーが存在しません。

この仕組みにより、アプリケーションがサーバーのプロセッサとメモリに直接アクセスできるため、仮想化環境を使用しないアプリケーションや独自のハイパーバイザーを必要とするアプリケーションに適しています。

Amazon EC2の利点

EC2の概要が理解できたところで、利点について解説します。
EC2を利用することの利点には大きく以下のような観点が挙げられます。

・グローバルインフラストラクチャ
EC2は、グローバルインフラストラクチャを活用し、高可用性と信頼性を提供しています。EC2は複数のリージョンとアベイラビリティーゾーンに分散しており、各アベイラビリティーゾーンは独立したロケーションです。これにより、障害が発生しても他のゾーンに影響を及ぼすことなく、アプリケーションを運用できます。
・コストと容量の最適化
EC2は秒単位の課金を採用しており、実際に使用した分のみを支払います。したがって、アプリケーションの最適化に焦点を当て、リソースの無駄な消費を削減できます。これにより、コストを抑えながらアプリケーションの性能を向上させることができます。
・ストレージ
EC2ワークロードは、異なるストレージ要件を持つことがありますが、AWSはそれに柔軟に対応します。組み込みのインスタンスストレージ以外にも、Amazon Elastic Block Store (Amazon EBS) およびAmazon Elastic File System (Amazon EFS) など、多くのクラウドストレージオプションを提供しています。
AWSのストレージオプションを利用することで、ワークロードに合わせて最適なストレージソリューションを選択し、データの信頼性、可用性、スケーラビリティを確保できます。
・ネットワーク
ネットワークもサービス提供において重要な要素です。強化されたネットワークインフラストラクチャにより、ビジネスのニーズに合わせて高速かつ信頼性の高いネットワーク接続を提供し、データの送信と受信を効率的に処理します。この高性能なネットワークは、アプリケーションのパフォーマンスを向上させ、ユーザーエクスペリエンスを向上させるのに貢献します。
・メンテナンス
AWSを利用することで、オンプレミス環境と比較してユーザーのメンテナンス負荷が大幅に削減されます。
オンプレミス環境では、ハードウェアの調達、セットアップ、保守、アップデート、障害対応など、インフラストラクチャの全てに対する責任がユーザー自身にかかります。これに対してAWSでは、ハードウェアのメンテナンスやソフトウェアのアップデートをAWS側が自動的に行います。
また、ライブアップデートやライブ移行などの非中断型メンテナンスにより、ユーザーのアプリケーションは中断せずに最新の状態を維持できます。これにより、ユーザーはインフラストラクチャの運用にかかる手間を軽減し、ビジネスに集中できます。

Amazon EC2のインスタンスタイプ

この章では、EC2のインスタンスタイプについて詳しく解説し、どのように適切なインスタンスタイプを選ぶかについて考察します。
異なるワークロードやアプリケーションの要件に合わせて、性能、メモリ、ストレージ、ネットワーク、価格などの要因を考慮して最適な選択を行うことは、クラウドリソースの効率的な活用に欠かせません。ここからは、Amazon EC2のインスタンスタイプについて見ていきましょう。

インスタンスタイプの種類

インスタンスタイプには、目的に応じて数多くの種類が存在します。当記事では、それぞれのインスタンプタイプの種類と、想定される利用用途について解説します。インスタンスタイプは大きく、6つに分類されます(2023年10月時点)。これらは、インスタンスファミリーと呼ばれるもので区別されます。

・汎用インスタンス(一般用途向け)
汎用インスタンスは、コンピューティング、メモリ、ネットワークのリソースが均等に提供され、さまざまなワークロードに適しています。このタイプのインスタンスは、ウェブサーバーやコードリポジトリなど、リソースを均等に使用するアプリケーションに最適です。
インスタンスファミリーはT3やM5です。2023年10月現在では、以下のようなインスタンスファミリーがあります。
・M7g
・M7i
・M7i-flex
・M7a
・Mac
・M6g
・M6i
・M6in
・M6a
・M5
・M5n
・M5zn
・M5a
・M4
・T4g
・T3
・T3a
・T2
・コンピューティング最適化
コンピューティング最適化インスタンスは、高性能プロセッサを活用するコンピューティング要件の高いアプリケーションに最適です。このカテゴリのインスタンスは、バッチ処理ワーク、メディアトランスコーディング、高性能ウェブサービス、HPC(High-Performance Computing)、科学モデリング、専用ゲームサーバーエンジン、機械学習推論など、コンピューティングリソースを多く必要とするアプリケーションに適しています。
2023年10月現在では、以下のようなインスタンスファミリーがあります。
・C7g
・C7gn
・C6g
・C6gn
・C6i
・C6in
・C6a
・C5
・C5n
・C5a
・C4
・メモリ最適化
メモリ最適化インスタンスは、大容量メモリを要求するデータ処理ワークロードに迅速なパフォーマンスを提供するようにデザインされています。
2023年10月現在では、以下のようなインスタンスファミリーがあります。
・R7g
・R7iz
・R6g
・R6i
・R6in
・R6a
・R5
・R5n
・R5b
・R5a
・R4
・X2gd
・X2idn
・X2iedn
・X2iezn
・X1
・X1e
・z1d
・高速コンピューティング
高速コンピューティングインスタンスは、ハードウェアアクセラレータ(コプロセッサ)を活用して、浮動小数点演算、グラフィックス処理、データパターン照合などの機能を、通常のCPUで実行するよりも効率的に実行します。
2023年10月現在では、以下のようなインスタンスファミリーがあります。
・P5
・P4
・P3
・P2
・DL1
・Trn1
・Inf2
・Inf1
・G5g
・G5
・G4dn
・G4ad
・G3
・F1
・VT1
・ストレージ最適化
ストレージ最適化インスタンスは、大容量のローカルストレージを利用し、大規模なデータセットに対する高速なシーケンシャル読み書きアクセスが必要なワークロード向けにデザインされています。データベースサーバーやキャッシュサーバーなど、データへの高速なアクセスが必要で、大規模なデータセットを扱うアプリケーションやワークロードにストレージ最適化インスタンスが役立ちます。
2023年10月現在では、以下のようなインスタンスファミリーがあります。
・I4g
・Im4gn
・Is4gen
・I4i
・I3
・I3en
・D2
・D3
・D3en
・H1
・HPC最適化
ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)インスタンスは、AWS上で高性能なコンピューティング作業を行うために作られたインスタンスタイプです。
これらのインスタンスは、大きな計算や複雑なシミュレーション、深層学習など、高速な処理を必要とするアプリケーションに向いています。
2023年10月現在では、以下のようなインスタンスファミリーがあります。
・Hpc7g
・Hpc7a
・Hpc6id
・Hpc6a

インスタンスタイプの選び方

次に、インスタンスタイプの選び方を解説します。
まずはインスタンスファミリーとしてMを基準に重視するリソースから選択していくことがおすすめです。AWSにおけるインスタンスタイプは、汎用インスタンス「Mインスタンスファミリー」のスペックが他のインスタンスファミリーの土台となっています。

そのため、まずは汎用インスタンスMインスタンスファミリーを使うことを検討しましょう。その上で、高速大容量のストレージが必要であれば、ストレージ最適化インスタンス、より大きいメモリ量が必要であればメモリ最適化インスタンスなどに切り替えることがおすすめです。
また、前述のとおりEC2は作成後にもインスタンスタイプの変更が可能であるため、重視すべきインスタンスタイプがわからない場合には、まずは汎用インスタンスのMインスタンスファミリーを利用してみましょう。

まずは使ってみよう、運用しながら最適化へ。AmazonEC2はインスタンスタイプの変更可!

図2.汎用インスタンスのMインスタンスファミリーの利用

Amazon EC2の監視

監視(モニタリング)は、 EC2インスタンスとAWSソリューションの信頼性、可用性、およびパフォーマンスを維持するために不可欠です。Amazon EC2のモニタリングを始める前に、次の要素を考慮したモニタリング計画を作成する必要があります。

  • ・モニタリングの目的
  • ・モニタリングする対象リソース
  • ・モニタリングの頻度
  • ・モニタリングツールの使用有無
  • ・モニタリングタスクの実施者
  • ・問題発生時の通知先

Amazon EC2のモニタリング方法

モニタリング計画を作成したら、次に平常時のEC2のパフォーマンスベースラインを確立します。
さまざまな時間帯や負荷条件でEC2のパフォーマンスを測定します。
そして、収集したモニタリングデータの履歴を保持します。これにより、現在のEC2のパフォーマンスを過去のデータと比較し、通常のパフォーマンスパターンと異常なパフォーマンスを識別するのが容易になります。

たとえば、EC2インスタンスのCPU使用率、ディスクI/O、およびネットワーク使用率をモニタリングできます。確立したベースラインから逸脱した場合、CPU使用率の制御、ディスクI/Oの改善、ネットワークトラフィックの削減など、適切な対策を講じる必要があります。

Amazon EC2のモニタリングツール

AWSは、EC2の監視に役立つ多くのツールを提供しています。これらのツールには、自動監視を設定できるものもあれば、手動で操作が必要なものもあります。

自動で利用できるツールには以下のようなものがあります。

  • ・Amazon CloudWatch アラーム
  • ・Amazon CloudWatch Logs
  • ・CloudWatch agent
  • ・Amazon EventBridge

Amazon EC2のモニタリングと最適化提案

前述の通り、EC2のモニタリングに広く利用されているのが、Amazon CloudWatch(以降、CloudWatch)です。CloudWatchにはトラフィックインサイトタブがあり、これを使ってアプリケーショントラフィックの上位概要情報を確認できます。アプリケーショントラフィックは複数の方法でフィルタリングやソートが可能です。

トラフィック量をもとに、トラフィック最適化の提案セクションには、トラフィックのモニタリング対象都市ネットワーク(ロケーションとASN、インターネットサービスプロバイダー)のフィルターセットと、各都市ネットワークのクライアントの総トラフィック量が表示されます。結果をもとに、現在あるEC2を別のリージョンに移した場合などを選択して性能を比較することが可能です。

この方法により、AWSのさまざまなリージョンにあるEC2を使用した場合のクライアントの最初のバイトまでの平均時間(TTFB)の予測値を現在のTTFBと比較できます。

このようにCloudWatchを活用することで、異なるオプションを選択し、結果を比較することで、クライアントのパフォーマンスを向上させるための設定とデプロイの計画を立てるのに役立ちます。

Amazon EC2のバックアップ

EC2インスタンスは、いくつかの手法を使用してバックアップできます。
この章では、EC2インスタンスのバックアップ方法を説明し、どの場面でどの手法を選択すべきかについて説明します。

Amazon EC2のバックアップ方法

EC2インスタンスのバックアップには、主に2つの方法があります。1つはEBSスナップショットを使用する方法であり、もう1つはAMIイメージを使用する方法です。これらの方法について詳しく説明します。

方法1:EBSスナップショットを作成する

EC2インスタンスのバックアップを行う方法の1つは、EC2インスタンスが使用している1つまたは複数のElastic Block Store (EBS) ボリュームのスナップショットを作成することです。

EBSとは、AWSのクラウドプラットフォームで提供されるストレージサービスです。EBSは、データの永続的な保存とアクセスを可能にし、AWSクラウド内のさまざまなサービスやEC2インスタンスと連携して使用できます。

EBSスナップショットを使用すると、特定の時点でEBSボリュームの状態を保存し、あとでそれを復元できます。

このEC2バックアップのアプローチは比較的簡単ですが、使用中のボリュームを確実にバックアップできないため、最初にインスタンスを停止するか、少なくともバックアップするボリュームをアンマウントする必要があります。

やり方は簡単で、EC2コンソールからスナップショットツールを選択し、画面の指示に従います。
スナップショットの作成プロセスは、キャプチャされるデータの量に応じて数時間かかることがあります。

スナップショットが作成されると、将来データを復元する必要がある場合、例えば災害復旧時などに、そのスナップショットを使用してデータを復元できます。

EBSボリュームスナップショットは、EC2インスタンスのバックアップを手軽に作成できる方法です。ただし、この方法には大きな制約があります。基本的には手動操作が必要で、EC2インスタンスが多数存在する場合や、バックアップを頻繁に作成する必要がある場合には適していません。

方法2:新しいAMIを作成する

EC2インスタンスをバックアップするもう1つの方法は、新しいAmazon Machine Image(AMI)を作成することです。
AMIには、EC2上に仮想サーバーを作成するために必要な、オペレーティングシステムコード、構成設定、およびデータがすべて含まれています。

AMIを使用したバックアップ方法は、EC2インスタンスに基づいてカスタムAMIを構築し、そのAMIを使用して、必要な場合にインスタンスを復元するためにクローンを作成します。

EBSボリュームをバックアップする場合、通常、新しいAMIを作成する前にEC2インスタンスを停止する必要があります。

インスタンスが停止したら、コンソールを起動し、バックアップするインスタンスを選択します。次に、Actions > Image > Create Imageに移動します。これにより、新しいAMIの作成方法を設定できるダイアログが開きます。

このEC2バックアップ方法は、EBSボリュームのスナップショットよりも少し複雑で多くの手順が必要ですが、比較的簡単に行うことができます。
さらに、バックアップ目的でAMIイメージを作成すると、OSと構成データを単一のバックアップイメージにまとめておくことができます。これは、EBSボリュームのみをバックアップするよりも便利です。

しかし、AMIイメージのバックアップにも欠点があります。EBSスナップショットと同様に、このバックアップ方法は手動作業で重くなります。大規模な展開には向いておらず、効率的なバックアップ手法としては適していません。

Amazon EC2のバックアップツール

EC2をバックアップする方法として、EBSスナップショットを作成する方法と新しいAMIを作成する方法をご紹介しました。これを自動化するためのツールとして、Amazon Data Lifecycle ManagerとAWS Backupがあります。

・Amazon Data Lifecycle Manager
Amazon Data Lifecycle Managerを使用すると、EBS スナップショットとAMI の作成、保持、削除を自動化できます。 このツールは、クロスリージョンコピーなどのオプションも提供しており、スナップショットを他のAWSリージョンに自動的に複製することができます。これにより、災害復旧(DR)作業が自動化され、代替リージョンでのサービス継続を行うことが可能です。
また、Amazon Data Lifecycle Managerは、Amazon EC2およびAmazon EBSに組み込まれた機能であるため、追加の料金は発生しません。
・AWS Backup
EC2以外にもAWSサービスを利用している人向けに活用できるサービスもあります。
それが、AWS Backupです。
AWS Backupは、AWSサービス全体のデータバックアップを一元管理および自動化するフルマネージドのサービスです。EC2以外のサービスも含めてバックアップを効率的に管理したい場合に役立ちます。
Data Lifecycle ManagerではEC2インスタンスごとにバックアップ設定が必要ですが、AWS BackupではすべてのEC2インスタンスに対して一括でバックアップを設定できるため、追加の設定不要で新しいインスタンスも自動的にバックアップ対象になります。
ただし、バックアップの頻度に関しては、Data Lifecycle Managerが最短1時間ごとに設定できるのに対し、AWS Backupは最短1日ごとにしかバックアップを取得できない点には注意する必要があります。
また、AWS Backupの料金はバックアップデータのデータ量とリージョンに基づいて決まります。
詳しい金額は、以下の公式ページをご参照ください。
バックアップストレージの料金

Amazon EC2のセキュリティ

AWSを導入する際に特に重要な要素の一つがセキュリティ対策です。AWSを使用してオンライン上でデータを管理する際、セキュリティ対策を怠ると、不正アクセスのリスクが高まり、企業の信頼性に影響を及ぼす可能性があります。

この章では、AWSのセキュリティ対策に関する考え方や注意事項について詳しく説明します。

Amazon EC2のセキュリティ対策

EC2のセキュリティ対策のポイントを3つ解説します。

・IAMアカウントの作成
AWS Identity and Access Management(IAM)は、ユーザーやグループのアクセス権を管理するためのツールです。最初のAWSアカウントを作成する際ではなく、個別のIAMアカウントを認証情報とアクセス権限に関連付けて使用することで、セキュリティが向上します。
必要に応じて、部門、役職、チームなどに基づいてIAMアカウントからグループを作成し、複数のアカウントを一元管理することも可能です。
・セキュリティグループの設定
EC2を使用する前に、最初にセキュリティグループを設定します。セキュリティグループはAWSの仮想サーバーへのアクセスを制御するための機能を提供し、インバウンドとアウトバウンドのトラフィックを制御するためにルールを設定できます。
これにより、不正なアクセスや攻撃からサーバーを保護し、データやアプリケーションの安全性を確保することができます。
・マシンイメージのコピー時のセキュリティ対策の確認
AWSのセキュリティ対策の要点として、マシンイメージをコピーする際にはセキュリティ対策が最新であることを確認することが重要です。
AWSでは、作成した「Amazon マシンイメージ(AMI)」をマスターイメージとして使用し、複数のインスタンスにコピーを展開することができます。しかし、コピー元のセキュリティ対策情報が古い場合、セキュリティが脆弱になる可能性があるため、コピーする前に必ず最新の状態か確認することが必要です。セキュリティ対策が最新であることを確認してからコピーを行うように注意しましょう。

Amazon EC2のセキュリティベストプラクティス

EC2のセキュリティベストプラクティスとしての対策は、以下のような点が挙げられます。

  • ・AWSリソースとAPIへのアクセス管理において、IDプロバイダーとIAMロールによるIDフェデレーションを利用する。
  • ・セキュリティグループについては、最小限の権限を持つルールを適用する。
  • ・定期的にインスタンスのオペレーティングシステムとアプリケーションにパッチ適用、更新、および保護を実施する。
  • ・Amazon Inspectorを用いて、EC2インスタンスを自動的にスキャンし、ソフトウェアの脆弱性や不正なネットワーク公開がないかを確認する。
  • ・AWS Security Hubのコントロールを利用して、Amazon EC2リソースをセキュリティのベストプラクティスやセキュリティ基準に従って監視する。

詳細はAWSの公式サイトをご参照ください。

Amazon EC2のセキュリティ監視

Amazon Inspectorというサービスを使用してAmazon EC2インスタンスのセキュリティ監視を行うことは可能です。
Amazon Inspectorは、AWSのセキュリティ診断サービスで、アプリケーションやインフラストラクチャのセキュリティの脆弱性を自動的にスキャンし、評価するためのツールです。このサービスは、セキュリティのベストプラクティスに従っているかどうかを確認し、潜在的な脆弱性やセキュリティ上の問題を特定するのに役立ちます。

Amazon EC2の料金

最後に、EC2の料金について解説します。

Amazon EC2の料金体系

AWSの料金体系は利用した分だけ料金が加算される「従量課金制」です。これはEC2も同じ考え方です。ただし、異なる条件ごとにいくつかの価格プランが存在します。ここでは特に代表的な、「オンデマンドインスタンス」と「リザーブドインスタンス」というプランについて説明します。

・オンデマンドインスタンス
これは最もシンプルな料金体系で、実際に利用した時間に応じて料金が発生します。オンデマンドインスタンスは、短期間の利用に適しています。
・リザーブドインスタンス
リザーブドインスタンスは、1年または3年の利用契約を結ぶことで、利用料金が割引される料金プランです。このプランでは、従量課金ではなく、定額課金が適用されます。また、契約時に一括で前払いするか、月ごとに分割して支払うかによって、割引率が異なります。

Amazon EC2の料金を削減する方法

EC2を使ってみたら意外にもコストがかさんでしまったという話も良く聞きます。
EC2の料金を削減する方法として、以下のようなものが挙げられます。
1つずつは独立しており、すぐに実行できるものなので、ぜひ検討してみてください。

  1. #1 未使用状態のEC2やAmazon RDS インスタンスへの支払いを止める
  2. #2 未使用状態の Amazon Redshift クラスターへの支払いを止める
  3. #3 Amazon S3 Intelligent-Tieringを有効にする
  4. #4 Amazon DynamoDB にはオンデマンドのキャパシティーモードを利用する
  5. #5 十分に活用されていないEC2 インスタンスへの支払いを止める
  6. #6 十分に活用されていないネットワークリソースを削除する
  7. #7 EC2 スポットインスタンス を利用する
  8. #8 Compute Savings Plans を利用する
  9. #9 リザーブドインスタンスを利用する
  10. #10 AWSの公式パートナーによる請求代行サービスを利用する

Amazon EC2の料金最適化する方法

コスト削減方法としては、上記に挙げたような方法が有効です。
一方で、自分の場合、どの手段を取るのがよいのかを知りたい場合、まずはEC2のリソース使用状況などを監視し、不要なインスタンスが立ち上がっていないか、また上限まで余裕のあるリソース状況であるかなど確認し、そうであった場合は適した方策を取ることが推奨されます。

まとめ

今回はEC2の効率的な運用方法について、バックアップやセキュリティ、料金などについて解説しました。他にもモニタリングや自動化など、多様な検討ポイントが存在します。
これらの要素を組み合わせて、AWS環境を安全かつ効率的に運用するためのベストプラクティスを確立しましょう。AWSのドキュメンテーションやトレーニングリソースを活用し、運用のスキルを向上させることもおすすめします。

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当記事の監修

GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社が運営するCloudCREW byGMOでご紹介する記事は、AWSなど主要クラウドの認定資格を有するエンジニアによって監修されています。

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