AWSノウハウ
AWS移行のメリットと注意点
DX実現の要となるクラウドコンピューティング
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業務効率や収益をアップするために、デジタル技術を活用した組織変革であるDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む企業が増えています。DXを実現するために、従来のITシステムの機能やスピードを大幅に改善できる基盤として、アマゾン・ウェブ・サービス(以下、AWS)に代表されるクラウドサービスの活用が進んでいます。本稿では、これからクラウドサービスを使ってDXを目指す経営層に向けて、AWSを活用するメリットと、移行する際の注意点について紹介します。
DX実現のためクラウドに期待できることとは?
クラウドサービスとは、ネットワーク経由でコンピューティングリソース、データベース、ソフトウエアなどを活用できるもので、物理的にサーバーを用意したり、ソフトウエアを購入したりする必要はありません。使いたいサービスを選んで、すぐに配備して利用でき、負荷に応じてシステムを柔軟に拡張・縮小できます。料金も、サービスを利用したぶんだけ支払う従量課金モデルが主流です。コストや可用性、俊敏性など、AWSを活用するさまざまなメリットを見てみましょう。
TCOの削減
クラウドサービスの利用は、コンピューターの導入、管理と維持の総額であるTCO(Total Cost of Ownership)の削減をもたらします。従来のように、オンプレミス環境でIT資産を利用する場合は、データセンターの場所を借りる費用や、ハードウエアの購入費用、ソフトウエアの設定などシステムの構築費用が初期投資として必要です。購入したハードウエアやシステムは定期的にメンテナンスしていかなければいけません。そして、数年おきにハードウエアを刷新したり、ソフトウエアの契約を更新したりする必要もあります。
対してクラウドは、使った分だけ支払う従量課金ですから、初期費用や数年ごとの契約更新も必要ありません。クラウド設備の物理的管理やセキュリティに関してはAWS側が責任を持ちますので、設備のメンテナンスにかかる人件費、工数を削減し、クラウド内で動作する自社システムの開発やセキュリティなどの管理に専念できます。またAWSは世界中で利用が拡大しており、過去10年間に85回以上も値下げされるなど、スケールメリットも享受できます。
可用性の向上
クラウドならシステムの可用性の向上を容易に行えます。可用性とは、利用可能な状態を維持できることを指します。例えば、データセンターに障害が発生した場合にシステムが利用できない時間が続くようなシステムは、可用性が低いです。一方、障害が発生した場合でも代替の手段があり、システムを止めない、またはすぐにシステムを復旧できる場合は可用性が高いといえます。
AWSの場合、クラウド上のデータやシステムは、世界25の地域内にある複数のデータセンター(DC)を利用した「アベイラビリティーゾーン(AZ)」という領域で管理されています。このため万が一、ある場所のDCにトラブルがあってもほかのAZに保存されたデータやシステムを使って復旧できます。バックアップについても、物理的な設備にコピーを用意するのではなく、抽象化された仮想マシンのスナップショットを保存し、迅速に復旧する仕組みも構築できます。
さらにAWS では、クラウドを支える設備のセキュリティも確保されていて、データや接続の自動暗号化、ログデータやモニタリングによるセキュリティ状況の可視化が可能です。第三者機関による検証も含め厳格なコンプライアンス要件にも対応していて、セキュリティ要件やコンプライアンスに厳しい金融機関や政府などでも利用されています。
また問題が発生しても、24時間365日、日本語によるビジネスサポートが用意されています。24時間、電話、チャット、メールによる問い合わせを回数制限なく利用でき、緊急度によっては、早期の回答も期待できます。
俊敏性の向上
クラウドを使えば、新製品の開発や自社情報ネットワークの刷新などを俊敏に行うことができます。AWSには200を超える豊富なサービスが用意されているので、情報分野でやりたいことのほとんどがこのサービスを利用して行うことができます。
代表的なものとしては、仮想サーバーのAmazon EC2、ストレージサービスのAmazon S3、データベースサービスのAmazon RDS、サーバーレスプログラム実行環境のAWS Lambdaなどがあり、ほかにも人口知能(AI)やIoTなどのサービスもあります。オンプレミスの場合、サービス稼働までには初期費用がかかり、ハードウエア調達や設定など、配備するまでに多くの時間や労力が必要でしたが、AWSなら、初期費用なく、すぐに希望の IT リソースの配備が可能になります。これでビジネスチャンスを逃すことなく、新サービス構築に着手することができます。
さらに、アプリケーションやライブラリ、各種設定をまとめた仮想環境であるコンテナ技術を活用できるサービスや、ソフトウエア開発における、デプロイ、テスト、リリースの自動化など、継続的インテグレーションと継続的デリバリーのための開発者向けツールも用意。クラウドネイティブなアプリケーションをより高速かつ高い信頼性を保ちながら開発・運用できる体制づくりをサポートします。
移行の注意点
メリットの多いAWSによるクラウド利用ですが、オンプレミス環境からクラウドに移行する場合には、いくつかの注意点があります。まずは、移行の目的を明らかにして、次に課題や制約を調査したうえで計画を立てます。移行を実行する際には、手順を明記してリハーサルをし、問題を解消してから本番移行を行います。
AWS移行の目標の設定
ITリソースのAWSへの移行によって何を成し遂げたいかを考えます。例えば、「5年間のTCOを30%削減する」「顧客に絶えず新たな価値を届けるためにソフトウエアのリリース頻度を5倍に高める」といった定量的な目標を設定してみましょう。組織のDX方針に沿って目標を明らかにしておけば、移行時に生じる課題に対して的確に対処したり、移行完了後どのような価値を創造できたかを評価したりできます。
目標達成のための課題や制限の調査
既存システムを構成する設備のスペックやソフトウエアのバージョン、データセンターの契約にまつわる情報やソフトウエアライセンス期間などに加え、社内で対応にあたるスタッフの数、新たな環境でも守るべきコンプライアンスの要件などを確認します。移行によって改善したい現在の課題についても明確にします。
移行する対象の選定
一連の調査が終わったら、どのシステムをAWSへ移行するかを選定します。選定においては、重要度・優先度、稼働年数、ランニングコスト、減価償却期間、利用者数などを参考にすると良いでしょう。もしくは自社内の、財務・会計システム、経費精算システム、人事情報システム、営業支援システムといった役割に応じて移行対象を設定するのも1つの方法です。
移行にあたっては、ハードウエア、OS、アプリケーションなどに変更を加えないリホストから、アプリケーションをよりよく書き換えるリファクタまで、いろいろな手法があります。まずはAWSにリホストして運用上問題がないことを確認しながら、並行してより改善されたアプリケーションにリファクタする、といった段階的な移行計画もいいでしょう。
移行計画は入念に
移行方針が決まったら、移行手順を計画書にまとめて実行します。いきなり本番移行ではなく、事前にリハーサルを行って予期せぬ問題をクリアするなど、よりリスクの低い方法を検討しましょう。トラブルが発生した場合のために、連絡経路や最終判断をする人の役割なども明確にしておきます。
社内にAWS移行のノウハウがなく不安を感じる場合は、AWSのサポートや、AWSのソリューションを提供しているAWSパートナーに協力を依頼するという方法もあります。自社だけで無理せず、パートナーの力も活用して、最善の目標達成を目指しましょう。
当社が運営する「CloudCREW」では、AWS移行に伴うオンプレミスの環境分析、移行方法や計画策定に始まり、導入後の安定運用を見据えた運用設計・管理までワンストップでサポートいたします。AWSへの移行に興味がある方は、対面/電話/Zoom等による無料相談窓口をご用意していますので、お気軽にご相談ください。
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