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AWS エッジロケーションとは?わかりやすく解説

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AWS エッジロケーションとは?AWS エッジロケーションの概要とエッジロケーションを利用するメリットについて、わかりやすく解説します。

はじめに

AWS上で公開しているサービスにおいて、低レイテンシーで応答性の高いアプリケーション体験を提供することが重要です。レイテンシーとは、転送要求を出してから実際にデータが送られてくるまでに生じる、通信の遅延時間のことをいい、この遅延時間が短いことをレイテンシーが小さい(低い)と表現します。

ユーザーがリクエストを送ったとしてもなかなか結果が表示されなかった場合には、サービスから離脱してしまう可能性が高まります。

AWS上で構築したサービスをユーザーに少ない待ち時間でサービスを提供するためのサービスが、AWSエッジロケーションです。この記事では、エッジロケーションの概要とエッジロケーションを利用するメリットについてわかりやすく解説します。

AWS エッジロケーションとは?

AWSのサーバーは大きく、リージョン、アベイラビリティーゾーン、エッジロケーションの3つの概念から成り立っています。まずはこれらの概要について解説し、エッジロケーションの位置付けについて理解していきましょう。

AWS リージョンとは?

AWS リージョンは、世界中の物理的なデータセンターが集積された地域を指します。2023年7月時点で、北米、南米、欧州、中国、アジアパシフィック、南アフリカ、中東などのリージョンが設けられています。日本国内には「東京リージョン」と「大阪リージョン」の2つのリージョンが存在します。

各AWSリージョンは、1つの地理的エリア内に複数のアベイラビリティーゾーンがあります。これらのアベイラビリティーゾーンは、物理的に分離され、隔離された環境で構成されています。詳細は、後ほど説明します。

AWS アベイラビリティーゾーン(AZ)とは

論理的データセンターの各グループは、アベイラビリティーゾーン(AZ)として知られています。各AWSリージョンは、最低3つ以上の物理的に分離されたAZからなる、1つの地理的なエリアで構成されています。

AWSのすべてのリージョンは、最低3つ以上のAZで構成されており(マルチAZデザイン)、複数のAZにサービスを配置することで、災害やハードウェアの障害にも対応できる冗長構成を実現できます。

AWS エッジロケーションとは?

AWS エッジロケーションとは、なるべくユーザーに近いネットワークでのアクセスを提供するためのサービスで、高速で安定したアクセスを実現させるサービスです。

リージョンやAZは配置されている国や地域が限定されているため、サービス利用者が直接これらのサーバーにアクセスしようとした場合、物理的な距離が遠い場合があります。その結果、ネットワークの速度低下によりレスポンスが遅くなるといった事態が起こり得ます。

そこで利用されるのが、エッジロケーションです。2023年7月時点では、リージョンが31カ所、アベイラビリティーゾーンが99カ所に対して、エッジロケーションはグローバルで400カ所以上配置されています。そのため、このサービスを利用することで、ユーザーから最も近いエッジロケーションに自動的にアクセスするように設計することが可能です。

また、エッジロケーションはリージョンとAWSグローバルネットワークと呼ばれる専用回線で接続されているため、高速かつ安定的なサービス提供が可能になります。

また、さらにエッジロケーションの中に特定の目的に応じたサービスが2種類あります。それがAWS Local Zonesとリージョン別エッジキャッシュです。

AWS Local Zones

AWS Migration AWS Local Zonesは、エンドユーザーの近くでアプリケーションを構築・デプロイすることができます。AWS インフラストラクチャをエンドユーザーやビジネスセンターに近づけることで、1 桁のミリ秒単位のレイテンシーやローカルデータ処理を必要とするアプリケーションを実行できます。 そのため、厳密なレイテンシーが要求されるようなアプリケーションなどに利用される場合が多いです。例えば、リアルタイムゲーム、ライブストリーミング、バーチャルリアリティ (AR/VR)などで有効に機能します。 Migration Hubは役立ちます。また、AWSの移行ツールだけでなく、サードパーティー製の移行ツールも対象にできるので移行プロジェクト全体を俯瞰(ふかん)し、進行状況を把握する用途に使われます。

それ以外にも、金融トレーディングシステムや政府系のシステムなどは他のトラフィックの影響を受けてレイテンシーが増大することが許容されない場合にはこのサービスの利用を検討するのがよいです。

リージョン別エッジキャッシュ

リージョン別エッジキャッシュは、エッジロケーションとオリジンサーバーの間に追加のキャッシュサーバーを配置することで、二段階のキャッシュ機能を提供します。これにより、オリジンサーバーへの負荷を軽減し、パフォーマンスの向上が期待できます。

従来のエッジロケーションとオリジンの二段階構成では、エッジロケーションにキャッシュが存在しない場合、コンテンツを毎回オリジンから取得する必要がありました。特にエッジロケーションとオリジンの物理的な距離が遠い場合は、パフォーマンスの低下が課題となっていました。

つまり、クライアントから遠いオリジンサーバーまでコンテンツを取得する必要があり、キャッシュの有無によってパフォーマンスに大きな差が生じるという問題がありました。

エッジロケーションとオリジンの仕組み

リージョナルエッジキャッシュは、この問題を解決する可能性がある機能です。リージョナルエッジキャッシュは、エッジロケーションと比較してより大容量のキャッシュを持つことが特徴です。エッジロケーションは人気の高いコンテンツをキャッシュし、他のキャッシュは削除されますが、リージョナルエッジキャッシュはより大きなキャッシュ容量を持っているため、エッジロケーションに残っていないコンテンツでもオリジンサーバーへのアクセスなしで返却できる利点があります。

また、物理的な距離の観点でも特徴があります。リージョナルエッジキャッシュはオリジンよりもクライアントに近い位置に配置されており、コンテンツの返却によって従来のパフォーマンス低下を軽減することができます。

リージョン別エッジキャッシュの仕組み

AWS エッジロケーション一覧

AWS エッジロケーションが世界中に配置されていることは、これまで紹介したとおりです。では、具体的にどこにあるのでしょうか。AWSのエッジロケーションがある拠点について解説します。

グローバルエッジネットワーク

グローバルエッジロケーションは、2023年7月時点では次の場所で提供されています。

また、最新の情報は、以下のページに掲載されています。
AWS、Amazon CloudFront の主な特徴、グローバルエッジネットワーク

北米

エッジロケーション: ワシントン (DC) (11)、シカゴ (イリノイ州) (19)、ニューヨーク (ニューヨーク州) (10)、アトランタ (ジョージア州) (10)、ロサンゼルス (カリフォルニア州) (9)、マイアミ (フロリダ州) (11)、ダラスフォートワース (テキサス州) (11)、ヒューストン (テキサス州) (4)、サンフランシスコ (カリフォルニア州) (6)、ボストン (マサチューセッツ州) (5)、デンバー (コロラド州) (3)、ポートランド (オレゴン州) (2)、シアトル (ワシントン州) (6)、トロント (カナダ) (3)、ミネアポリス (ミネソタ州) (4)、フェニックス (アリゾナ州) (2)、ケレタロ (メキシコ) (2)、モントリオール (カナダ) (2)、フィラデルフィア (ペンシルベニア州) (1)、ソルトレイクシティ (ユタ州) (1)、バンクーバー (カナダ) (1)、ナッシュビル (テネシー州) (2)、デトロイト (ミシガン州) (2)

リージョン別エッジキャッシュ: カリフォルニア、オハイオ、オレゴン、バージニア北部

欧州

エッジロケーション: フランクフルトアムマイン (ドイツ) (17)、ロンドン (英国) (24)、パリ (フランス) (9)、ミラノ (イタリア) (9)、ローマ (イタリア) (6)、ベルリン (ドイツ) (5)、マドリード (スペイン) (4)、マルセイユ (フランス) (4)、アムステルダム (オランダ) (4)、デュッセルドルフ (ドイツ) (3)、ハンブルク (ドイツ) (3)、マンチェスター (英国) (5)、ミュンヘン (ドイツ) (4)、ウィーン (オーストリア) (3)、ストックホルム (スウェーデン) (3)、コペンハーゲン (デンマーク) (2)、ダブリン (アイルランド) (2)、ヘルシンキ (フィンランド) (3)、アテネ (ギリシャ) (1)、ブリュッセル (ベルギー) (1)、ブダペスト (ハンガリー) (1)、リスボン (ポルトガル) (1)、オスロ (ノルウェー) (2)、ブカレスト (ルーマニア) (1)、パレルモ (イタリア) (1)、プラハ (チェコ) (1)、ソフィア (ブルガリア) (1)、ワルシャワ (ポーランド) (1)、ザグレブ (クロアチア) (1)、チューリッヒ (スイス) (1)

リージョン別エッジキャッシュ: ダブリン (アイルランド)、フランクフルト (ドイツ)、ロンドン (英国)

アジア

エッジロケーション: 東京 (日本) (20)、ニューデリー (インド) (7)、ソウル (韓国) (6)、チェンナイ (インド) (7)、シンガポール (6)、大阪 (日本) (7)、ムンバイ (インド) (10)、バンガロール (インド) (4)、ハイデラバード (インド) (3)、台北 (台湾) (3)、バンコク (タイ) (10)、コルカタ (インド) (2)、ジャカルタ (インドネシア) (2)、クアラルンプール (マレーシア) (2)、マニラ (フィリピン) (1)、ハノイ (ベトナム) (1)、ホーチミン (ベトナム) (1)

リージョン別エッジキャッシュ: ムンバイ (インド)、シンガポール、ソウル (韓国)、東京 (日本)

オーストラリアおよびニュージーランド

エッジロケーション: シドニー (オーストラリア) (6)、オークランド (ニュージーランド) (3)、メルボルン (オーストラリア) (2)、パース (オーストラリア) (1)

リージョン別エッジキャッシュ: シドニー (オーストラリア)

南米

エッジロケーション: サンパウロ (ブラジル) (7)、リオデジャネイロ (ブラジル) (2)、ボゴタ (コロンビア) (2)、ブエノスアイレス (アルゼンチン) (2)、サンティアゴ (チリ) (1)

リージョン別エッジキャッシュ: サンパウロ (ブラジル)

中東

エッジロケーション: テルアビブ (イスラエル) (2)、マナーマ (バーレーン) (2)、ドバイ (UAE) (1)、フジャイラ (UAE) (1)

アフリカ

エッジロケーション: ケープタウン (南アフリカ) (1)、ヨハネスブルグ (南アフリカ) (1)、ナイロビ (ケニヤ) (1)

中国

エッジロケーション: 上海 (中国) (1)、深圳 (中国) (1)、中衛 (中国) (1)、北京 (中国) (1)、香港 (中国) (4)

日本国内のエッジロケーション、場所

では、日本国内のエッジロケーションは具体的にどこにあるのか、気になる方もいるかもしれません。しかし、AWSはエッジロケーションの場所をはじめ、リージョンやAZを構成するデータセンターの場所は公開していません。

理由はセキュリティ上の対策です。AWS上には数多くのサービスが配置されており、機密情報や個人情報が大量に保存されています。その場所が世の中に知られてしまった場合には悪意のある第三者によって攻撃を受けてデータ漏えいなどのリスクがあります。
日本国内のエッジロケーションの場所についてわかっていることは、東京に20カ所、大阪に7カ所存在し、リージョン別エッジキャッシュが東京にあるということのみです。

エッジロケーションで利用できるサービス

エッジロケーションで利用できるAWSのサービスはいくつかあるため、これらの概要について解説します。

Amazon CloudFront

Amazon CloudFrontは最もエッジロケーションの低レイテンシー実現に直結しているサービスです。コンテンツをキャッシュする機能をオリジンサーバーとの間にはさむことによって配信を高速化し、オリジンサーバーへの負荷を軽減することが可能です。

AWSエッジの仕組み

Amazon Route 53

Amazon Route 53は一言でいえばドメインネームシステム (DNS) ウェブサービスです。IPアドレスを名前解決する仕組みで、トラフィックの送信先のサーバーを指定することができます。
Amazon Route 53を使ってAmazon CloudFrontにルーティングさせることで、Amazon CloudFrontでのレスポンス向上を実現することが可能です。

AWS WAF

AWS WAFは、セキュリティ対策のサービスです。WAFとはWeb Application Firewall(ウェブアプリケーションファイアウォール)の略で、アプリケーションレベルでパケットを解析し、不正なアクセスを遮断し、正しいアクセスのみを許可します。

AWS Shield

AWS Shieldは、DDoS(分散型サービス拒否)攻撃からウェブアプリケーションを保護するためのサービスです。DDoS攻撃は、大量のトラフィックをターゲットのウェブサイトやアプリケーションに送信して、サービスの停止や利用不能状態を引き起こす攻撃手法です。
AWS Shieldは、このような攻撃からアプリケーションを守るために、トラフィックを監視し、異常なトラフィックを自動的に検知してブロックする機能を提供します。

エッジロケーションを利用するメリット

最後に、エッジロケーションを利用するメリットについて解説します。エッジロケーションを利用することで、大きく以下の2つのメリットを享受することができます。

  • ・大量トラフィックに対するメリット
  • ・セキュリティリスクに対するメリット

大量トラフィックに対するメリット

1つ目は、大量トラフィックに対するメリットです。多くの人に利用されるサービスの場合、大量のトラフィックが発生し、サーバーに負荷がかかる場合があります。その際、毎回オリジンサーバーにアクセスしているとレスポンスが遅くなる可能性があります。
エッジロケーションを利用することで、コンテンツをエッジロケーションにキャッシュし、毎回オリジンサーバーにアクセスする必要がなくなるためユーザーからみた時のレスポンスが早くなります。 このためにはエッジロケーションでAmazon CloudFrontとAmazon Route 53のサービスを利用することが必要です。

セキュリティリスクに対するメリット

2つ目が、セキュリティリスクに対するメリットです。
不正なアクセスやDDoS攻撃などが発生することで、オリジンサーバーに対して負荷がかかる、またはータ漏えい発生するリスクがあります。そこで、エッジロケーションに対してセキュリティ対策を施すことで、これらのリスクを低減させることができます。
具体的にはAWS WAFとAWS Shieldを設定することが有効です。

まとめ

当記事では、エッジロケーションの概要とエッジロケーションを利用するメリットについて解説しました。安定したサービスを提供する上で、低レイテンシーと高いセキュリティの担保は非常に重要であるため、エッジロケーションを正しく理解し、有効活用してみてください。

最後に、Amazon CloudFront、Amazon Route 53、AWS WAF、AWS Shieldなどエッジロケーションを利用するサービスを導入・運用する際、計画の早い段階からAWSパートナーに相談してみることをおすすめします。

当社が運営する「CloudCREW」では、サービスの導入から安定運用を見据えた運用設計・管理までワンストップでサポートいたします。AWSに興味がある方、課題を抱えていて解決したい方は、対面/電話/Zoom等による 無料相談窓口をご用意していますので、お気軽にご相談ください。

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当記事の監修

GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社が運営するCloudCREW byGMOでご紹介する記事は、AWSなど主要クラウドの認定資格を有するエンジニアによって監修されています。

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