AWSノウハウ
AWS導入支援サービス完全ガイド2025
~選び方、探し方、利用する理由~
- AWS入門
- AWS基礎知識
目次
AWSの導入は、柔軟なシステム基盤の構築と競争力の強化につながることから、多くの企業が積極的に進めています。しかし、専門知識の不足や技術的な障壁に直面する場合も少なくありません。AWSの最先端テクノロジーを活用するためには、専門的なノウハウが必要なため、専門家による支援が有効です。
この記事では、AWSの導入支援サービスについて、概要から選び方、そして探し方までを解説します。
AWS導入支援サービスとは
AWSを導入したい企業に対して、専門的な知識やスキルを持つパートナーが包括的にサポートするサービスがAWS導入支援サービスです。このサービスを活用することにより、クラウド移行における複雑な課題を解決し、企業のデジタル変革を実現しやすくなります。
AWSパートナーによる導入支援の定義
AWSパートナーとはAWSから公式に認定され、クラウドサービスの導入から運用までを一貫してサポートする専門企業です。AWSパートナーはその技術力に応じて、セレクト、アドバンスド、プレミアの3つのティア(ランク)に分類されており、より上位ティアのパートナーほど高度な技術力と豊富な実績を有しています。
各パートナーは、AWS認定資格を保有する技術者を擁し、企業固有の課題やニーズに合わせてカスタマイズされたソリューションを提供します。AWSパートナーによる導入支援サービスを活用することによって、クラウド移行にともなうリスクを最小限に抑えながら、最適なAWS環境を構築することが可能です。
導入支援サービスの種類と範囲
AWS導入支援サービスは、初期のコンサルティングから実際の環境構築、システム移行、運用・保守にわたる包括的なサポートを提供します。新規システムの導入にあたっては、要件定義からアーキテクチャ設計、実装までをカバーし、既存システムの移行では、現状分析から移行計画の策定、実際の移行作業まで対応します。
また、セキュリティ設計やコスト最適化に対するコンサルティングも重要なサービスの一つです。これらのサービスは、企業の規模や要件に応じて柔軟にカスタマイズすることが可能で、必要な支援を必要な分だけ選択することができます。
AWS導入支援の主要な内容
AWSの導入支援は、サービスや企業の環境ごとにその内容は異なるため、ここではおもなサービス内容について簡単にまとめて解説します。
システム設計と環境構築
初期の段階で企業の事業規模やビジネス要件について詳細に分析し、最適なAWSサービスの選定を行ないます。Amazon EC2やAmazon S3、Amazon RDSなどの各種サービスを組み合わせ、企業の業務プロセスに最適化された環境を構築します。
また、将来の拡張性も考慮して柔軟かつ拡張性の高いインフラストラクチャの設計を行ない、システムの安定性と効率性を確保することも主要なサービスの一環です。運用面においては、システムの監視体制を確立し、バックアップ戦略の策定も含めて包括的に支援します。
セキュリティ設定と最適化
AWSのセキュリティベストプラクティスに基づき、多層的な防御体制を構築します。具体的には、AWS IAMによる適切なアクセス制御の設定や、AWS Security Hubを活用したセキュリティ状態の可視化などです。その他にも、AWS CloudTrailによる監査ログの取得など、包括的なセキュリティ対策を実施します。
また、AWS Configを活用してリソースの設定状態を監視し、セキュリティリスクの早期発見と対応を可能にします。運用面においてはシステムの効率性を向上させるためにリソースを見直し、最適化することもサービスの一環です。
データ移行プロセス
既存システムからAWSへのデータ移行を計画的かつ安全に実施します。移行前の詳細な環境調査から、データの整合性確認、移行後の検証まで、体系的なアプローチによって進めます。
特に大規模なデータ移行の際には、AWS DMSなどの専用ツールを活用することにより、ダウンタイムを最小限に抑えつつ確実に移行することが可能です。データ移行の際には、スムーズな移行を実現するためにも専門家に任せきりにせず、協業することが重要です。
ネットワーク構成支援
企業のネットワーク要件に応じて最適なVPC(仮想プライベートクラウド)設計を行ないます。サブネットやルーティングの適切な設定、セキュリティグループの構成など、セキュアで効率的なネットワークアーキテクチャを構築するためには重要な支援です。
また、オンプレミス環境との接続やマルチリージョン構成など、複雑なネットワーク要件にも対応します。ネットワーク構成支援は、セキュリティと可用性を考慮したネットワークアーキテクチャを構築し、企業の通信インフラを効率的に整備するためには不可欠です。
クラウドアーキテクチャの設計
AWSのWell-Architectedフレームワークに準拠し、運用効率の優秀性、セキュリティ、信頼性、パフォーマンス効率、コスト最適化、そして持続可能性を考慮したアーキテクチャを設計します。
システムの可用性を高めるための冗長構成や、効率的にリソースを利用するために、自動スケーリング機能を実装するなど、企業の成長に合わせて柔軟かつスケーラブルなクラウド基盤を構築します。
マルチクラウド対応戦略
複数のクラウドサービスを効果的に組み合わせ、企業のセキュリティリスクを分散し、コストの最適化を実現するマルチクラウド戦略の支援も主要サービスの一環です。異なるクラウドプラットフォーム間でのデータ連携や、統合的な監視体制の確立など、複雑なマルチクラウド環境におけるシステム構築と運用をサポートします。各クラウドサービスの特性を活かした最適な構成を提案し、ビジネスの継続性と効率性を確保します。
AWS導入支援サービスを利用する理由
多くの企業がクラウド移行を検討するなか、技術的な課題や戦略的な懸念に直面しています。AWS導入支援サービスは、これらの課題を効果的に解決し、スムーズなクラウド移行を実現する重要な選択肢です。
AWS導入支援サービスを利用することで得られるメリットや、利用すべき理由について解説します。
専門的知識の活用
AWSは300種類以上ものサービスを提供しているため、それぞれの機能や特性を理解し、最適な組み合わせを選択することは容易ではありません。AWS導入支援サービスでは、AWS認定資格を持つ専門エンジニアが、豊富な経験と最新の技術や知識を活用して、企業固有の課題に対応した最適なソリューションを提案します。
なお、個々のエンジニアの資格以外にも、企業として取得できるMSPプログラムやW‑AプログラムなどのAWS認定プログラムもあります。これらを取得している場合より専門性が客観的に保証されることになります。
クラウドアーキテクチャの設計から具体的な実装まで、専門家による包括的なサポートにより、効率的にAWS環境を構築可能です。
コスト最適化の実現
AWS環境では、構成や設計に問題がある場合、予期せぬコストが発生する可能性があります。導入支援サービスを利用することにより、リソースの適切な選択やスケーリング設定の最適化など、コスト効率の高いクラウド環境を実現できます。
AWS導入支援サービスの提供者はAWSに対する深い知見があり、従量課金制であるAWSの特性も十分に理解しています。そのため、不要なリソースの削減や適切なインスタンスタイプの選択が可能です。専門家による定期的な利用状況の分析や改善提案により、長期的な視点でのコスト削減が可能となります。
リスク管理とセキュリティ強化
クラウド環境に特有なセキュリティリスクに対して、AWS導入支援サービスは包括的な対策を提供します。具体的には、IAMポリシーの適切な設定、ネットワークセキュリティの強化、データ保護戦略の策定などで、AWS環境における多層的なセキュリティ対策を実装します。
加えて、定期的な脆弱性診断や監視体制の構築により、継続的なセキュリティ強化を実現することが可能です。
導入期間の短縮
AWS導入支援サービスを利用することにより、システムの要件定義から環境構築まで、各フェーズを効率的に進められます。専門家による体系的なアプローチにより、一般的な課題や障壁を事前に回避し、導入プロジェクト全体の期間を大幅に短縮可能です。
エンジニアリソースの有効活用
社内のエンジニアリソースを新技術の習得や環境構築に割くことなく、既存システムの運用や新規開発など、より重要な業務に集中させることができます。AWS導入支援サービスにより技術的な複雑さが解消され、企業の人的リソースを戦略的な業務に割り当てられるため、組織全体の生産性が向上します。
AWS導入支援サービスを選ぶ際のポイント
AWSの導入を成功に導くためには、適切な支援パートナーの選択が重要です。企業のニーズに合った最適なパートナーを選定するためのおもなポイントについて解説します。
AWS認定パートナーの確認
AWS導入支援サービスを選ぶ際には、まずAWS認定パートナーであるかどうかを確認しましょう。AWS認定パートナーは、AWSが定める厳格な基準を満たした信頼性の高い企業であり、高度な技術力と豊富な実績を有しています。
Well-Architectedフレームワークに基づいた最適なアーキテクチャの設計や、最新のAWSテクノロジーを活用したソリューションの提供が可能です。継続して認定パートナーであるために、特定の期間に達成すべきノルマが設定されています。継続的なビジネスの成長と新規の市場開拓が求められるため、選定の際には重要な判断基準となります。
実績と導入事例の評価
パートナー選びでは、過去の導入実績や具体的な成功事例の確認が不可欠です。特に自社と同じ業界や同程度の事業規模である企業での導入事例は、パートナーの課題解決能力を評価するうえで重要な指標となります。
導入事例において、課題の特定から解決策の提案、実装後の効果測定まで、具体的なプロセスと成果を確認することにより、パートナーの実力を正確に判断することができます。
サポート体制の確認
クラウド環境の安定運用には、充実したサポート体制が不可欠です。24時間365日の監視体制や、障害発生時の迅速な対応能力、定期的なメンテナンスの実施など、包括的なサポート内容を提供可能なパートナーを選択することが重要です。
また、セキュリティアップデートやパフォーマンスの最適化など、システムの継続的な改善を支援できる体制かどうかも選ぶ際のポイントになります。リリース後も継続的にビジネスの成長をサポートできるパートナーを選択することが重要です。
技術的専門性
AWSが提供する300以上のサービスを効果的に活用するためには、高度な技術力が必要です。
AWS認定資格を保有するエンジニアの在籍数や、最新技術への対応力、複雑なクラウドアーキテクチャの設計能力など、技術的な専門性を総合的に評価することが重要です。また、MSPプログラム、W‑Aプログラム、移行コンピテンシープログラムなどのAWS認定プログラムの取得状況もチェックしてください。
そのうえで、自社のニーズに合わせた最適なソリューション提案が可能か、などの観点から見極めましょう。
カスタマイズ対応力
企業固有の要件や課題に対して、柔軟なカスタマイズ要望に対応可能なことが重要です。幅広いサービスを提供し、企業ごとに特定のニーズに合わせたソリューションを提案できる能力を持ち合わせているかどうかをチェックしましょう。
具体的には、システム設計から移行、セキュリティ設定、運用保守、最適化までを含め、柔軟にカスタマイズ対応できるかどうかが判断基準です。
コスト透明性
AWS導入における費用構造の透明性は、長期的な運用を考えるうえで重要な要素です。初期費用、月額費用、追加サービスの料金など、詳細な費用内訳の提示とコストの最適化提案ができるパートナーを選択することが推奨されます。
また、請求代行サービスや定期的なコスト分析を行なえる体制も重要な選定基準です。
導入支援サービスの探し方
AWS導入支援サービスを選ぶ際には、いくつかの探し方があるため、それぞれの特徴を理解して最適な方法を選択することが重要です。ここでは、信頼性の高いパートナーを見つけるためのおもな方法について解説します。
AWSパートナーネットワークの活用
AWSパートナーネットワーク(APN)は、AWSが公式に認定した信頼性の高いパートナー企業を検索できるプラットフォームです。200以上の国や地域から140,000以上のパートナーが登録されており、業種や地域、提供サービスなど、詳細な条件設定により絞り込み検索が可能です。
パートナーはセレクト、アドバンスド、プレミアの3つのティアに分類されており、各ティアは厳格な審査基準に基づいて認定されています。特に上位ティアのパートナーは、高度な技術力と豊富な導入実績を有しており、複雑なプロジェクトにも対応可能です。
AWSから紹介を受ける
AWS公式の営業担当や窓口を通じて、企業のニーズに最適なパートナーの紹介を受けることができます。AWSは顧客の要件を詳細にヒアリングし、専門性や実績に基づいて最適なパートナーを紹介します。AWS公式からの紹介は特定の業界や技術に特化したパートナーを探している場合に効果的で、信頼性が高いため、プロジェクトの成功率を高めることができるでしょう。
Webで検索する
専門的なITレビューサイトやクラウド関連メディアを活用することにより、AWS導入支援サービスを提供する企業の詳細な情報を収集できます。各企業の導入事例やユーザーレビュー、技術的な専門性などを比較検討することによって、自社のニーズに合った最適なパートナーを見つけることが可能です。
また、各パートナー企業のWebサイトでは、具体的なサービス内容や料金体系、サポート体制などの詳細情報を確認できます。
セミナーやイベントでの情報収集
AWS関連のセミナーやカンファレンス、オンラインイベントへ参加することにより、最新のクラウド技術におけるトレンドと信頼できる導入支援企業の情報を直接収集するための機会となります。
これらのイベントでは、パートナー企業の専門家と直接対話することができ、自社のクラウド戦略や課題についての具体的な相談が可能です。実際の導入事例や成功事例を詳しく知ることができるほか、パートナー選定において参考となる貴重な情報を得られます。
AWS導入支援サービスの費用相場
AWS導入支援サービスの費用は、企業の規模やシステム要件によって大きく異なります。ここでは、一般的な費用相場と、費用を構成する要素について簡単に解説します。
導入規模別の価格帯
基本的なWebサーバー構築の場合、検証環境のようなシングル構成の小規模なシステムでは20万円~30万円程度から導入が可能です。高可用性を考慮した冗長構成やセキュリティ対策を含めた中規模システムでは、40万円~60万円程度となります。
また、大規模システムや特殊な要件がある場合は、70万円以上の費用が必要となることもあります。これらは初期導入費用であり、月額料金やAWSの利用料金は別であることに注意が必要です。また、業界や用途によって必要となるAWSサービスが異なるため、具体的な要件に基づいた見積もりが必要となります。
初期費用と月額費用の内訳
AWS導入支援サービスの費用体系は、初期費用と月額費用に大別されます。初期費用には、AWS環境の設計・構築費用、セキュリティ設定、データ移行作業などが含まれます。月額費用には、24時間365日の監視や運用のサポート、技術支援などが含まれます。
これらに加えて、AWSの利用料金が別途かかることに注意が必要です。さらに、セキュリティ強化やバックアップなど、追加のオプションサービスには別途費用が発生します。
定額でAWS環境の導入支援から運用までを実現する「AWSマネージドパック」
AWS導入支援サービスを活用すれば、スムーズなAWS移行とその後の運用も安心して任せられます。しかし、AWSは従量課金制であり、導入支援サービスを含めた費用感がわかりづらい、と感じる方も多いのではないでしょうか。
そのような場合におすすめなのがCloudCrewの「AWSマネージドパック」です。AWSマネージドパックは、毎月定額でAWS環境の構築から監視・運用までのフルマネージドサービスを提供します。CloudCrewはAWS認定のアドバンスドティアサービスパートナーであり、オールインワンのAWS環境を定額利用できるプランを4つ用意しております。
AWSマネージドパックをご利用いただければ、AWSの従量課金を気にすることなく、定額で監視・運用代行までお任せいただけます。AWSの導入を検討されている場合には、ぜひ一度お問い合わせください。
まとめ
AWS導入支援サービスは、AWSに関する専門的な知識とスキルを持つパートナーがAWSの導入に際し包括的なサポートを提供するサービスです。AWS環境の構築から運用まで対応し、スムーズな移行を実現します。さまざまなAWS導入支援サービスがありますが、選定の際にはこの記事で解説したポイントをもとに検討を進めるとよいでしょう。
また、弊社でもAWS導入支援サービスを提供していますので、AWSへの移行を検討されている際はお気軽にご相談ください。
GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社が運営するCloudCREW byGMOでご紹介する記事は、AWSなど主要クラウドの認定資格を有するエンジニアによって監修されています。